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昨今、建物のみを評価して欲しいとしたご相談を受けることがあります。建物のみの評価だとしても、本当にその建物のみを評価すれば良いのか、又はその建物に付随する形で何らかの土地利用権が付着するものなのかを考えさせられます。
この点、鑑定評価基準によれば、建物の鑑定評価はその敷地と一体化している状態を前提として、その全体の鑑定評価額の内訳として建物について部分鑑定評価を行うものとしています。
この場合の部分鑑定評価とは、土地及び建物等の結合により構成されている不動産について、その土地に存在することを前提として建物のみを鑑定評価の対象とすることであります。
そしてまた、鑑定評価基準では、複合不動産価格をもとに建物に帰属する価格を配分する方法として、割合法と控除法の2つの方法があるとされています。
割合法は、複合不動産価格に建物の価格構成割合を乗じて求める方法とされ、控除法は複合不動産価格からその土地価格を控除して求める方法とされています。
割合法は、複合不動産価格(100,000,000円)に建物部分の積算価格比(40%)を乗ずることにより、建物価格は40,000,000円と求められます。
控除法は、複合不動産価格(100,000,000円)から土地部分の価格(60,000,000円)を控除することにより、同様に建物価格は40,000,000円と求められます。
つまり、建物自体の仕様及び経過年数が全く同じであれば、全国一律で同じような建物価格が試算されることになります。
しかしながら、鑑定評価基準では先程も述べたように、建物の鑑定評価はその土地に存在することを前提として建物のみの評価を行うことを求めています。
この文言を素直に解釈すれば、仮に都心に存する建物と田舎に存する建物とが全く同じ仕様及び経過年数であっても、建物が所在する土地自体に場所的利益の差があることから、全国一律で同じような建物価格が試算されないことになります。
この点、最高裁の判決(昭和35年12月20日)でも建物評価にあたり、借地権(地上権、賃借権)そのものの価格は加算すべきでないが、その存在する場所的環境を考慮すべきと説示していることを踏まえても、上記における解釈でないとその趣旨にも反することになります。
したがって、鑑定評価基準の表層的な解釈に留まることなく、建物は土地と結合し有機的にその効用を発揮する密接な関係にあるとした鑑定評価基準における本質的な考えを踏まえ、建物に付随する形で何らかの土地利用権が付着しているものと解すべきであります。
そもそも建物のみの評価を行うこと自体が非常に稀でありますが、何故そのような評価依頼が出てくるのかを考える必要があります。
これらが出てくる前提要件としては、①土地所有者と建物所有者がそれぞれ別々であること、②その所有が別々であったとしても親族間、又は関連会社間といった間柄であること、③土地建物の所有者間においてこれを分けざるを得ない事情(紛争等)が生じたこと、これら3つの要件が揃うと建物のみの鑑定評価依頼が出てくることになります。
これらを踏まえ建物に付随する権利は何か、それは建物利用に関して土地所有者への対価の支払いが生じない権利、いわゆる使用借権が付随する権利であると解されます。
そう解さないと建物が宙に浮いていることになりますので、物理的に建物所有権のみというわけにはいかず、使用借権付き建物所有権にならざるを得ないことになります。
つまり、建物のみの足の部分につき、これを経済価値として捉えれば場所的利益、権利として捉えれば使用借権ということになります。
この点、当該部分の見える化を図る意味でも鑑定評価基準にその旨を明確に反映させる必要があると思います。
したがって、建物のみの鑑定評価にあたっては、建物価格+土地価格×使用借権割合ということになりますので、先程の建物価格40,000,000円とは異なり、これに土地に対する使用借権価格(場所的利益)を加算したものが、実質的な建物のみの評価額になるといえます。
また、鑑定評価基準における使用借権(場所的利益)の必要性について及び使用借権の経済価値についても併せてお読み頂ければと思います。
担当:小林
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