借地権の評価について

 借地権の評価にあたっては、借地権の取引慣行の有無によってその手法適用は異なってくる。そもそも借地権の取引自体が登記移転の伴わない水面下における取引であることから、その取引自体を的確に把握することは難しい。

 

 しかしながら、その表の取引となる底地に係る取引であれば、登記移転を伴う取引であることからその動向を的確に把握することができる。底地は借地権と表裏一体の権利であることから、表(底地)の取引が多数確認できるということは、その裏(借地権)にあたる権利取引も同様に水面下にて多数存在しているものと考えられる。

 

 この点につき、地価の高い都心部においては、一体不動産としての取引総額を抑える意味でも、自用の建物及びその敷地と比較しその価格の優位性が生ずることから、その潜在的な市場性は十分見込めるものと解すべきである。特に都心部へ行くほどその傾向が強く表れてくるので、借地権の取引慣行は都心ほどより成熟しているものといえる。

 

 借地権の取引慣行が成熟している場合の評価としては、@借地権の取引事例に基づく取引事例比較法、A対象借地権に帰属する純収益を求めこれを借地権の還元利回りで還元する借地権残余法、B対象借地権に係る新規地代から現行地代を控除しこれを借地権の還元利回りで還元する賃料差額還元法、C対象借地権に係る更地価格にその地域における借地権割合を乗じ、これに対象借地権に係る個別格差を勘案する借地権割合法がある。

 

 これらの手法適用につき、@の手法については、そもそも論として借地権の取引事例の入手が難しいことからその適用を断念する場合が多く、Aの手法については、借地上に収益力のある店舗、事務所ビル等が想定できる場合にその適用が可能となり、Bの手法については、新規地代と現行地代との差額に着目した正に借地権者の借り得部分に着目した手法で、地代といった果実部分に着目した元本と果実の関係性を分析した説得力ある手法であり、Cの手法については、対象不動産に係る更地価格にその地域における借地権割合を乗じ、更に対象借地権に係る個別格差を勘案することにより借地権価格を求める手法であり、不動産の市場性及び地域における借地権の取引慣行を十分勘案した手法適用であるといえる。

 

 上記手法適用におけるBの手法は、特に地代といった果実部分に着目した手法であり、その地代には「賃料の遅行性」という特性があり価格のような価値上昇に直ちに繋がらないという性質があるため求められる価格は保守的な価格となることが多い反面、Cの手法は先走りがちな取引事例を基礎に求めた更地価格がベースとなり、それに地域における借地権割合を勘案することにより求めていることからその価格は積極的な価格となる傾向にある。

 

 以上を踏まえ鑑定評価額の決定にあたっては、過去からの契約締結の経緯を踏まえた価格のみでは保守的な価格に抑えられてしまう側面があることから、実勢の取引価格に裏付けられた更地価格をベースとし借地権割合を考慮することにより求められた積極的な価格を関連づけることにより、借地権に係る適正な時価を求めることになる。

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