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 囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)とは、民法210条において、周囲の土地に全部が囲まれ道路に出られない土地(袋地)である場合、その土地所有者は道路に出るため囲まれている他人の土地(囲繞地)を通行することができるとした権利であります。

 

 このような他人の土地(囲繞地)を介さないと道路に出ることができない敷地を袋地といいますが、これら袋地が建物再建築不可の土地として、直ちに二束三文の価値づけとなることが妥当であるかという点が問題となります。

 

 この点につき、上記囲繞地通行権が民法210条により袋地権者に土地利用の救済を与えその利益を尊守するための権利であることを十分考慮の上、①他人の土地(囲繞地)を通行するための権利が認められたとしてもその範囲が建築基準法の接道義務を満たす2m幅として認められるものであるか、②ガス、上下水道等の配管、電気、電話等の架設につき、他人の土地(囲繞地)の利用が認められるものであるかといった点につき検証を加えていきます。

 

 まず民法210条は、他人の土地(囲繞地)を通行するための権利を認めていますが、その範囲についての定めはありません。この点につき、最高裁の判決では土地の価値を左右するその範囲につき一貫性のある結論を出しています。

 

 上記①につき、最高裁の判決では、建築基準法における接道義務2m幅を満たす囲繞地通行権を認めた判決(昭和49年4月9日)と接道義務2m幅を満たす囲繞地通行権を認めない判決(平成11年7月13日)がそれぞれ出されています。

 

 前者の古い判決は、もともと2m幅の囲繞地通行権が当事者間で容認されていたという経緯をもとに、それを前提として2m幅の囲繞地通行権を認めたという判決であり、後者の新しい判決は、路地状部分が1.45mの接道義務を満たせない実質袋地につき、0.55m幅の囲繞地通行権を認めさせ、路地状部分を2m幅にしたいという主張に対し、路地状部分は1.45mあることから袋地とはいえない状況にあり、新たに建築基準法の接道要件を満たすために0.55m幅の囲繞地通行権を認める必要はないとした判決であります。

 

 上記判決を分析するに、囲繞地通行権の範囲は設定当初において当事者間で取り決めた範囲をベースにこれを定めるという視点からすれば、新旧における最高裁の判決は同じ目線にたっているといえます。つまり、前者の囲繞地通行権の範囲は2m幅であり、後者の囲繞地通行権の範囲は1.45m幅ということです。

 

 この最高裁の判決を踏まえれば、囲繞地通行権の幅が2m未満である場合、仮に裁判で争ってもその幅が2mとなる可能性は非常に低いことから、ここは発想を転換し、囲繞地権者に償金を払うことによる交渉を通じ、2m幅以上となるように囲繞地通行権の確保を行い、接道要件を満たす建築可能な敷地とすることが重要なポイントであるといえます。

 

 つまり、囲繞地通行権の設定を伴う袋地というものは、単に評価人に価値の判断を委ねるだけでは二束三文の評価となる可能性が高いことから、まず袋地権者は当事者として汗をかき、囲繞地権者に対する好意的なアプローチを行うことにより償金を払ってでも2m幅以上となるように囲繞地通行権を認めてもらうことが重要であり、これが認められれば旗状敷地に近い物件としてこれを捉えることができ、地域相場の▲20%〜▲30%程度の減価をもって評価を行うことが可能となります。しかし、2m幅以上となるような囲繞地通行権の確保ができず、かつ隣地の囲繞地権者への袋地売却が想定できない場合、土地の価値は二束三文なものとなってしまいます。

 

 また②につき、ガス、上下水道等の配管、電気、電話等の架設にあたり、他人の土地(囲繞地)の利用について、地裁、高裁の判決では、当事者の関係性を崩壊させた事案を除き、囲繞地通行権の使用を認めなかった裁判例は存していないことから、囲繞地の鑑定評価にあたっては、ライフラインの設定に伴う囲繞地利用に対する償金を土地の減価としてこれを捉え評価に反映させることになります。

 

 以上より、囲繞地通行権の設定を伴う袋地の評価は、袋地権者の好意的な行動如何によりその状況が一変する可能性があります。

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